牽引療法
特にここでは、骨折脱臼の整復の目的以外の脊椎疾患の治療を目的とする脊椎牽引療法を解説します。
脊椎牽引療法の治療効果
①椎間関節周囲軟部組織(靭帯、筋肉)の伸張
②椎間板、椎間関節の軽度の変形、変位の矯正(効果は少ない)
③椎間関節の離開(関節の内圧が上がると痛みが出るため内圧を下げる意味がある)
④椎間孔の拡大
⑤椎間板内圧の陰圧化と椎体前後靭帯の伸張による膨隆髄核の復位化(椎間板の変形が元の形に戻る)
⑥筋スパズム(緊張)の緩和(引っ張るとゆるむ)
⑦マッサージ効果による循環改善・促進(伸張と弛緩を繰り返すと血管の血流をよくするポンプ作用を起こす)
⑧患部の安静と固定
適応
①頚椎症性脊髄症
②後縦靭帯骨化症(薄い靭帯が骨になってるので折れると破片が脊髄を損傷させて脊髄神経麻痺のおそれ)
③腰椎椎間板ヘルニア
④腰部椎間関節症
⑤腰部捻挫
⑥脊椎骨折
禁忌
①脊椎悪性腫瘍・転移癌(病的骨折が起こる)
②脊椎感染症(余計ひどくなる)
③不安定靭帯関節リウマチ
④強直性脊椎炎
⑤全身衰弱
⑥重度骨粗しょう症
⑦重度心肺疾患